『労働組合とは何か』読書会の記録
春爛漫の季節となりました。
5月1日はメーデーにあわせて、『労働組合とは何か』読書会を行いました。
まずはメーデー歌を聞きましょう。大滝詠一日本ポップス伝で知ったのですが、一高寮歌の「アムール川の流血や」、軍歌「歩兵の本領」とおなじメロディーです。当時は西洋音楽の旋律が貴重で、何度も使い回したとのことです。覚えやすくて元気の出る良い歌だと思います。
読んだ本は、木下武男『労働組合とは何か』です。
本書は中世のギルドからさかのぼって労働運動の歴史を、とくに産業別組合に注目して整理したものです。前半はヨーロッパとアメリカの労働運動の歴史的背景を説明し、後半は日本の労働運動の分析となっています。特に関西生コンの事例が詳述されているのが、本書の特徴と言えるでしょう。
かいつまんで内容を追っていくと、
・中世のギルドは内向きの平等(仲間で競争しない)と、外向きの独占(競合を認めない)とによって、職人の労働を管理していました。労働組合の目的は競争を抑止し労働者の酷使を防ぐことにあり、その起源はこのギルドにあります。
・産業革命が起きると、市場が自由化しギルドの独占が崩れ始めます。ギルドは保守化し既得権益を守ろうとしました。一方、雇用者と交渉する組織として職業別労働組合が生まれました。自由市場の競争から労働者を守るという目的は形を変えて受け継がれました。
・労働組合は、雇用者に対抗できる強い組織力が重要です。この点、企業別組合は企業を越えた賃金や雇用環境の要求を打ち出せず、政党と結合した組合は政治や法によって労働環境を変える運動に向かいがちで本来の労働組合の目的を逸脱してしまいます。
・日本の企業別・政党色の強い労働組合は高度経済成長とともに発展しましたが、90年代の構造変化に対応できず、解体が進んでいます。それを食い止めるためには、産業別組合による高い交渉力をもった「本来の労働組合」を作る必要があります。
・最後に、今日の非正規雇用の拡大に対応した、業種を越えて一般に労働者を組織する一般労働組合の展望が述べられています。
読書会では、転職、離職が労働者が雇用者に「抵抗」する(ほぼ唯一の?)手段となっている現状や、労働の「構想」と「実行」の分離によって労働者が交渉力を失い、構想する雇用側と実行する労働者側へと細分化が進んでいくことへの賛否について話しました。参加されたみなさんありがとうございます!
久し振りの読書会でしたが、これからもイベント企画予定です。ご期待ください!
最後に、読書会のレジュメです↓