『人新世の「資本論」』読書会の記録
秋も深まり彼岸花も散り、空は高く、馬も肥えているかどうかはわかりませんがたいへん鍋のおいしい季節となってまいりました!果たして私たちはこんな素敵な季節をこれから先も享受することができるのでしょうか?
10月11日の夜長にナベノハウスでは鍋を囲みながらZOOM読書会が開催されました。ZOOMの向こうでも鍋が行われているという、鍋の連帯を感じさせる一幕もありました。
今回読んだ本は斎藤幸平『人新世の「資本論」』です。
気候変動の思想は気候変動の中で、つまり、CO2の排出量をいかにして減らすかというアウトプットを中心に語られて来たのではないでしょうか。自動車の利用をどれくらい制限すればいいか、火力発電をどこまで自然エネルギーに代替できるか、排出権取引、京都議定書などが、学校の教科書に書いてあるような古典的な話題で、そこではCO2を排出する/規制する単線的な因果関係が想定されています。そうではなく、社会構造の変革を行うことでCO2排出量の削減も達成されるという、総合的な改革のビジョンを打ち出すのが本書です。
気候変動を引き起こす根元は資本主義である、だから資本主義の超克なしには解決はありえない、これが斎藤の主張です。
(初期の)マルクスは、資本主義はいずれ行き詰まり恐慌を引き起こすと考えました。斎藤は近年明らかになった晩期マルクスの研究をもとに、恐慌ではなく環境破壊こそ資本主義が突き当たる破局であると考えます。(初期の)マルクスは恐慌の後に社会主義革命を構想しましたが、環境破壊の後には文明の崩壊しかありません。だからその前に革命を起こし、資本主義から決別する必要があるのです。
はじめに・第1章
第2・3章
第4章
第7・8章